退職代行を使ったときの会社の反応は、引き止め、本人への連絡、事務手続きの案内などさまざまです。会社が驚いたり不満を示したりすることはありますが、退職代行を使ったことだけを理由に、退職そのものを一方的に拒否できるわけではありません。
ただし、雇用期間の定めの有無や、退職代行業者が対応できる範囲によって、会社とのやり取りや手続きは変わります。
退職代行を使ったときに会社がする主な反応
会社の反応として多いのは、退職の意思や退職日を確認し、引き継ぎや貸与品の返却などの手続きを進めることです。次のような対応が考えられます。
- 退職代行業者に退職理由や退職希望日を確認する
- 本人に直接、電話やメールで連絡する
- 「自分で話してほしい」と伝える
- 上司や人事が退職を引き止める
- 有給休暇の取得や退職日について調整を求める
- 貸与品の返却や書類の受け取り方法を案内する
- 無断欠勤として扱おうとする
どの反応になるかは、会社の規模や上司の考え方、退職日までの期間、退職代行業者の種類などによって変わります。会社から反応があったからといって、必ずしも退職できないという意味ではありません。
会社から本人に連絡が来ることはある
退職代行を使っても、会社から本人の携帯電話、メール、家族などへ連絡が来ることはあります。退職代行業者が「本人へ連絡しないでほしい」と伝えていても、会社からの連絡を完全に止められるとは限りません。
会社から連絡が来た場合は、感情的に対応せず、まず退職代行業者へ共有します。退職代行業者から会社へ連絡する契約になっている場合は、本人が個別に交渉せず、窓口を一本化するほうがやり取りを整理しやすくなります。
ただし、会社からの連絡をすべて無視してよいとは限りません。健康保険、離職票、給与、貸与品、私物の返却など、退職手続きに必要な連絡が含まれていることがあるためです。
「退職代行を使うなら退職を認めない」と言われたら
正社員など期間の定めがない雇用契約では、労働者が退職の意思表示をしてから原則として2週間が経過すると、雇用契約を終了できるとされています。ただし、就業規則の手続き、退職日、有給休暇、引き継ぎの状況などが関係するため、すべてのケースを一律に判断することはできません。
また、月給制などでは退職の申し入れ時期に関する扱いが問題になる場合があります。会社の就業規則だけで退職の可否が決まるわけではありませんが、契約内容と退職の伝え方を確認する必要があります。
会社から「退職を認めない」「退職届を受け取らない」と言われた場合は、次の資料を保存しておきます。
- 退職代行業者が会社へ連絡した日時と内容
- 退職届や退職通知の写し
- 会社から届いたメール、書面、メッセージ
- 雇用契約書や労働条件通知書
- 就業規則に記載された退職手続き
退職日や未払い賃金などで会社と争いになった場合は、弁護士や労働基準監督署、都道府県労働局の相談窓口などに相談します。退職代行業者が法律相談や交渉に対応できるとは限らない点にも注意が必要です。
会社が引き止めてくることはある
退職代行を使うと、上司や人事から「直接話せば考え直す」「待遇を改善する」と引き止められることがあります。引き止め自体は会社の反応の一つですが、応じる義務があるわけではありません。
退職の意思が固まっている場合は、本人が会社と個別に交渉せず、退職代行業者に「退職の意思は変わらない」と伝えてもらいます。退職理由を詳しく説明したくない場合も、理由をどこまで伝えるかを事前に決めておくと対応しやすくなります。
退職代行業者によって会社への対応範囲が違う
退職代行を選ぶときは、会社への連絡だけを行うのか、会社との交渉まで対応できるのかを確認することが重要です。
| 依頼先 | 会社への主な対応 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般企業の退職代行業者 | 退職の意思や希望を会社へ伝える | 退職条件や未払い賃金などの交渉は、対応できる範囲が限られる |
| 労働組合が運営する退職代行 | 退職の意思を伝え、一定の労働条件について団体交渉を行う場合がある | 加入条件や対応範囲を確認する必要がある |
| 弁護士が対応する退職代行 | 退職の通知に加え、未払い賃金や損害賠償などの法律問題を扱える場合がある | 依頼内容と弁護士費用を確認する必要がある |
たとえば、退職の意思を伝えるだけなら一般の退職代行業者でも対応できる場合があります。一方で、未払い賃金の請求、有給休暇の取得、損害賠償への対応など、会社との交渉が必要になる場合は、労働組合や弁護士への相談を検討します。
会社が「損害賠償を請求する」と言う場合
退職代行を使ったことだけで、当然に損害賠償責任が発生するわけではありません。会社が損害賠償を主張してきた場合は、何を根拠に、どのような損害が発生したと説明しているのかを確認する必要があります。
「退職したら違約金を払う」「退職代行を使ったら賠償金を払う」といった会社からの発言だけで、請求が法的に認められると決まったわけではありません。ただし、会社から正式な請求書や内容証明郵便、裁判所からの書類が届いた場合は放置せず、弁護士などに相談してください。
退職後に会社が行う事務手続き
会社の反応が落ち着いた後は、退職に伴う書類や返却物の手続きが中心になります。会社から案内があったら、次の項目を確認します。
- 健康保険証や資格確認書などの返却方法
- 社員証、制服、鍵、パソコンなどの貸与品
- 離職票、源泉徴収票、退職証明書の受け取り
- 未払い給与や退職金の支払い時期
- 会社に置いた私物の返却方法
会社からの書類が届かない場合は、まず退職代行業者を通じて確認します。退職後の公的な手続きに必要な書類がある場合は、いつ、どの方法で発行されるのかを具体的に確認しておくと安心です。
退職代行を使う前に確認したいこと
会社の反応に備えるには、退職代行へ依頼する前に、契約内容と会社へ伝える事項を整理しておくことが大切です。
- 雇用契約に期間の定めがあるかを確認する
- 退職希望日と、出勤する最終日を決める
- 有給休暇の残日数を確認する
- 会社から借りている物と、会社に残っている私物を整理する
- 給与、退職金、離職票などで確認したい事項をまとめる
- 退職代行業者が会社と交渉できる範囲を確認する
- 会社から連絡が来た場合の対応方法を決める
特に、契約社員など雇用期間が決まっている場合は、期間の途中で退職できる条件が異なることがあります。契約書を確認しても判断できない場合は、依頼前に労働問題を扱う専門家へ相談してください。
退職代行を使った後、会社から連絡が来たときの対応
会社から連絡が来たら、まず内容を記録し、退職代行業者へ送ります。そのうえで、次のように内容を分けて対応します。
- 退職の意思確認や引き止め:退職代行業者へ対応を依頼する
- 給与や離職票などの事務連絡:必要事項を確認して返答する
- 損害賠償や未払い賃金の請求:書面を保存し、弁護士などへ相談する
- 脅迫的な言動や執拗な連絡:記録を残し、警察や専門窓口への相談も検討する
退職代行を使ったときの会社の反応は、必ずしも「怒る」「退職を拒否する」だけではありません。会社から連絡が来ることは想定し、退職日、貸与品、書類、給与などの実務的な確認は落ち着いて進めることが重要です。
まずは雇用契約の期間、有給休暇、会社へ返す物、退職代行業者の交渉範囲を確認し、会社との交渉が必要になりそうな場合は、対応できる依頼先を選びましょう。








