退職代行で「即日退職」しても、退職日が当日になるとは限りません。無期雇用の正社員などは、会社の同意がなければ、原則として退職の申し入れから2週間が経過した日が退職日です。一方、会社が当日付の退職に同意した場合や、残っている有給休暇を使って出勤しない場合は、退職日と最終出勤日が異なることがあります。
退職代行で即日退職するときの退職日はいつか
退職代行でいう「即日退職」には、主に次の2つの意味があります。
| 状況 | 退職日 | その日から出勤するか |
|---|---|---|
| 会社が当日付の退職に同意した | 退職代行を利用した当日 | 通常は出勤しない |
| 会社の同意なしに無期雇用を辞める | 退職の申し入れから原則2週間後 | 有給休暇などを使えば出勤しない方法がある |
| 退職日まで有給休暇を使う | 有給休暇の最終日 | 退職日までは在籍するが、出勤しないことがある |
このため、退職代行から「即日退職できる」と説明された場合は、雇用契約そのものが当日終了するのか、それとも当日から出勤しなくてよいのかを確認する必要があります。
会社の同意がない場合は、原則として2週間後が退職日
期間の定めがない雇用契約では、労働者が退職を申し入れてから原則2週間が経過すると、雇用契約を終了できます。これは民法627条の定めによるものです。民法
たとえば、3月1日に退職の意思表示が会社へ届いた場合、特別な事情がなければ、退職日は3月15日として扱われる可能性があります。ただし、退職の意思表示が会社に届いた日や、雇用契約・賃金の定め方によって計算が変わる場合があるため、具体的な日付は個別に確認が必要です。
会社の就業規則に「1か月前までに申し出る」と書かれていても、無期雇用の退職について、法律上の期間を超えて労働者を拘束できるとは限りません。ただし、引き継ぎや有給休暇の扱いをめぐって会社と問題になることはあるため、退職日を明確にした書面を残すことが大切です。
当日を退職日にできるのは、会社の同意がある場合
会社が「本日付で退職する」と認めれば、退職代行を利用した当日を退職日にできる場合があります。この場合は、退職の申し入れから2週間後を待たずに雇用契約を終了させる合意をしたことになります。
ただし、退職代行を使えば会社の同意なしに必ず当日付で退職できるわけではありません。退職代行が会社に伝える日と、会社との合意によって決まる退職日は、分けて考える必要があります。
有給休暇を使えば、退職日まで出勤しない方法もある
退職日が2週間後になっても、その期間に残っている年次有給休暇を使えば、退職日まで出勤しない形にできることがあります。この場合、最終出勤日は当日、退職日は2週間後という状態になります。
たとえば、3月1日に退職を申し入れ、3月15日が退職日になったとします。3月1日以降の勤務日に有給休暇を充てることが認められれば、3月1日を最後に出勤せず、3月15日まで在籍することが可能です。
有給休暇の取得には、残日数や勤務日、会社との調整が関係します。会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に取得時季を変更できる「時季変更権」がありますが、退職日を過ぎて有給休暇を移すことはできません。退職日が近い場合の扱いは、退職代行を通じて会社に確認しましょう。
雇用契約の期間によって退職日の考え方が変わる
退職日を判断するときは、正社員かどうかだけでなく、雇用契約に期間の定めがあるかを確認します。
無期雇用の場合
正社員などの無期雇用では、原則として退職の申し入れから2週間で雇用契約が終了します。会社が同意すれば、当日付など、2週間より前の日を退職日にすることもできます。
有期雇用の場合
契約社員やパートなどで契約期間が決まっている場合、原則として契約期間の途中で自由に退職できるとは限りません。やむを得ない事由がある場合などは別の扱いになるため、契約書の期間や退職に関する条項を確認する必要があります。
1年を超える期間の有期労働契約については、一定の条件を満たすと、契約期間の初日から1年を経過した後に退職できる制度があります。対象になるかは契約期間や職種などによって異なるため、自己判断で退職日を決めずに確認してください。労働基準法
退職代行に確認するべき退職日のポイント
退職代行を依頼する前に、次の内容を具体的に確認すると、退職日と最終出勤日を混同しにくくなります。
- 「即日退職」とは、当日付で雇用契約が終了する意味か、当日から出勤しなくてよい意味かを確認する。
- 会社に伝える退職希望日と、法律上または合意上の退職日を確認する。
- 有給休暇の残日数と、退職日までの勤務日に充てられるかを確認する。
- 雇用契約が無期か有期か、契約書や労働条件通知書で確認する。
- 会社から退職日を記載した書面やメールが届いたら、最終出勤日とあわせて保管する。
なお、弁護士資格のない退職代行業者は、会社との退職日の交渉や未払い賃金の請求などを行えない場合があります。会社との合意が必要な当日退職や、退職日をめぐる交渉を依頼する場合は、退職代行業者が交渉まで対応できる立場かを確認してください。
退職日と最終出勤日は別の日になることがある
退職日は、雇用契約が終了して会社に在籍しなくなる日です。最終出勤日は、実際に職場へ行く最後の日を指します。
退職代行で即日から出勤しない場合、次のような組み合わせが考えられます。
- 退職日が当日・最終出勤日も当日:会社が当日付の退職に同意した場合
- 退職日は2週間後・最終出勤日は当日:退職日まで有給休暇を使う場合
- 退職日は2週間後・最終出勤日も当日以降:有給休暇を使わず、会社との欠勤などの扱いを確認する場合
特に、退職日が変わると、給与の締め日や社会保険の資格喪失日、離職票などの手続きにも影響することがあります。退職代行には「退職日」「最終出勤日」「有給休暇の扱い」を別々に確認し、会社からの回答を書面で残してもらいましょう。
退職代行で即日退職できるかは、会社が当日付の退職に同意するか、雇用契約が無期か有期か、有給休暇を使えるかによって変わります。まずは、自分の雇用契約の種類と有給休暇の残日数を確認し、「当日付の退職」なのか「当日から出勤しないだけ」なのかを退職代行へ具体的に確認してください。








