退職代行を使っても、必ずその日に退職できるわけではありません。無期雇用なら、原則として退職の意思を伝えてから2週間が経過すると退職できます。ただし、会社との合意がある場合や、残っている有給休暇を使って退職日まで出勤しない場合は、連絡した当日から職場へ行かずに済むことがあります。
一方、契約社員などの有期雇用では、契約期間の途中で辞められる条件が異なります。雇用期間、会社との合意、有給休暇の残日数によって判断しましょう。
退職代行で「即日退職」できる条件
退職代行で即日退職に近い状態にできる主な条件は、次のとおりです。
- 会社が退職日を当日または希望日に合意する
- 無期雇用で、法律上の退職日まで有給休暇を使う
- 無期雇用で、法律上の退職日まで欠勤や休職などにより出勤しない
- やむを得ない事情があり、有期雇用でも途中退職が認められる
ここで注意したいのは、「即日退職」と「即日出勤しないこと」は別だという点です。退職日が当日になるとは限らなくても、有給休暇などを利用して、退職日まで会社へ行かない形にできる場合があります。
無期雇用なら原則2週間で退職できる
正社員など、契約期間が決まっていない無期雇用の場合、退職の申し入れから2週間が経過すると、原則として雇用契約が終了します。これは、会社が退職届を受け取らない場合でも、直ちに退職できるという意味ではありません。
民法では、期間の定めのない雇用について、当事者が解約を申し入れた日から2週間を経過することで終了すると定めています。詳細は民法第627条で確認できます。
例えば、4月1日に退職の意思表示をした場合、法律上の退職日は原則として4月15日以降です。会社が同意すれば4月1日付の退職も可能ですが、同意がなければ、退職代行業者が一方的に当日付へ変更することはできません。
会社の就業規則で「1か月前」と決まっている場合
就業規則に「退職の1か月前までに申し出る」と書かれていても、無期雇用の退職について、法律上の期間を超えて退職を不可能にできるとは限りません。
ただし、引き継ぎの状況や雇用契約の内容、退職の伝え方によっては会社とトラブルになることがあります。退職日を明確にし、貸与品の返却や私物の回収方法も退職代行へ伝えましょう。
有給休暇を使えば、退職日まで出勤しない方法もある
退職日が2週間後になっても、その期間に残っている有給休暇を使える場合は、退職代行へ連絡した日から出勤しない方法を検討できます。
年次有給休暇は、原則として労働者が指定した時季に取得する制度です。会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に取得時季を変更できる「時季変更権」がありますが、退職日を過ぎて別の日に変更することはできません。そのため、退職日までの期間に有給休暇を申請するケースでは、会社が別の日へ変更できるかが問題になります。
ただし、有給休暇の残日数、勤務先の制度、退職日との関係によって結果は変わります。残日数が分からない場合は、給与明細や勤怠システムを確認し、退職代行へ伝えてください。
有給休暇が足りない場合
有給休暇が退職日までの日数に足りない場合、残りの日を欠勤扱いにできるかは、会社との合意や就業規則によって異なります。欠勤すれば必ず即日退職できる、または給与の控除が発生しないという意味ではありません。
欠勤により賃金が減るほか、無断欠勤として扱われる可能性もあるため、退職代行を通じて「退職日まで出勤しないこと」と「不足する日数の扱い」を会社に伝えてもらう必要があります。
会社が合意すれば、当日付の退職も可能
会社と退職日について合意できれば、法律上の2週間を待たずに当日付で退職できる場合があります。退職代行は、依頼者の希望する退職日を会社へ伝え、合意を求めることができます。
ただし、会社が合意するかどうかは勤務先の判断です。退職代行へ依頼しただけで会社が当日退職に応じるわけではなく、「即日退職を保証」と表示しているサービスでも、法的に会社の同意を強制できるとは限りません。
契約社員・パートなどの有期雇用は条件が異なる
契約社員など、雇用期間が契約書で決まっている場合は、契約期間の途中で自由に退職できるとは限りません。原則として、契約期間が終わるまで契約が続くためです。
ただし、次のような場合は途中退職が認められる可能性があります。
- 会社と退職について合意できた場合
- 病気、家族の介護など、やむを得ない事情がある場合
- 1年を超える期間を定めた労働契約で、契約開始から1年が経過している場合など
有期労働契約の途中退職については、労働契約の期間や契約書の内容によって判断が分かれます。労働基準法第137条などの条件は、労働基準法で確認できます。
契約期間、更新の有無、契約開始日が分からないまま「即日退職できる」と判断するのは危険です。雇用契約書や労働条件通知書を手元に用意してから相談しましょう。
退職代行の種類によって、できることが違う
退職代行には、主に一般業者、労働組合、弁護士が対応するものがあります。退職の意思を伝えるだけであれば一般業者でも対応できる場合がありますが、会社との交渉が必要になると、対応できる範囲が問題になります。
| 退職代行の種類 | 主な対応 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般の退職代行業者 | 本人に代わって退職の意思を伝える | 退職日の交渉や未払い賃金の請求などを依頼できるとは限らない |
| 労働組合 | 団体交渉として会社と話し合える場合がある | 対応できる内容や加入条件は組合ごとに異なる |
| 弁護士 | 退職の連絡、会社との交渉、未払い賃金などの請求 | 料金や対応範囲を事前に確認する必要がある |
退職日を会社と交渉したい、未払い賃金や残業代を請求したい、損害賠償を求められているといった場合は、退職の意思を伝えるだけのサービスでは対応できない可能性があります。依頼前に、希望する対応が契約に含まれるか確認してください。
即日で出勤しないために確認すること
退職代行へ依頼する前に、次の情報を整理すると、即日退職できる可能性を判断しやすくなります。
- 雇用契約が無期か有期かを、雇用契約書や労働条件通知書で確認する
- 有期契約なら、契約の終了日と更新の有無を確認する
- 有給休暇の残日数を、給与明細や勤怠システムで確認する
- 退職希望日、最後に出勤できる日、会社へ行かない日を分けて決める
- 会社から借りている備品、社員証、制服、鍵などを一覧にする
- 未払い賃金やハラスメントなど、会社と交渉したい内容を整理する
- 依頼するサービスが、退職日の交渉や金銭請求に対応できるか確認する
「今日から出勤したくない」という希望と、「今日付で雇用契約を終了したい」という希望は、退職代行へ別々に伝えましょう。前者は有給休暇や欠勤の扱い、後者は会社との合意や法律上の退職期間に関係します。
退職代行で即日退職できるかの判断
無期雇用で会社が退職日に合意すれば、当日付の退職が可能です。合意がない場合でも、原則2週間後を退職日とし、その間を有給休暇などで休むことで、連絡した日から出勤しない形にできる場合があります。
有期雇用では、契約期間の途中か、やむを得ない事情があるか、会社が合意するかによって結論が変わります。まずは雇用契約の種類、契約終了日、有給休暇の残日数を確認し、希望する「退職日」と「最後の出勤日」を分けて退職代行へ伝えてください。








