退職代行を利用する場合でも、会社から借りている貸与品は返却が必要です。通常は、退職代行業者を通じて会社に返却方法を確認し、指定された方法で郵送するか、会社側に回収してもらいます。
退職代行を利用したからといって、貸与品を返さなくてよいわけではありません。返却方法や期限が不明なまま放置せず、会社からの指示を確認して記録を残しておくことが大切です。
退職代行を利用したときの貸与品の返却方法
貸与品は、主に次のいずれかの方法で返却します。どの方法になるかは、会社の指示や貸与品の種類によって異なります。
- 宅配便や郵便で会社へ送る
- 退職代行業者を通じて返却方法を確認する
- 会社が指定した担当者や営業所へ持参する
- 会社側に自宅まで回収してもらう
- 代理人や家族などを通じて返却する
会社から具体的な指示がない場合は、退職代行業者に「貸与品の返却方法と返却期限を会社へ確認してください」と伝えます。退職代行業者が会社と連絡を取った記録や、返却方法についての回答は保存しておきましょう。
返却前に貸与品を一覧にする
まず、自宅や車、ロッカーなどを確認し、会社から借りている物を一覧にします。返却漏れを防ぐため、品名だけでなく数量や状態も記録してください。
| 確認する物 | 例 |
|---|---|
| 仕事で使う機器 | パソコン、タブレット、スマートフォン、充電器、マウス |
| 入退室に使う物 | 社員証、入館証、鍵、セキュリティカード |
| 業務に関する書類 | 資料、契約書、名刺、顧客情報、社内マニュアル |
| 身につける物 | 制服、作業着、ヘルメット、名札、社章 |
| その他の物 | ETCカード、交通系カード、社用車の鍵、印鑑 |
会社の物を自分の判断で廃棄したり、データを消去したりするのは避けてください。パソコンやスマートフォンも、会社から初期化やデータ削除の指示がない限り、勝手に操作しないほうが安全です。
貸与品を郵送するときの手順
郵送で返却する場合は、発送した事実と返却物の内容が分かるように準備します。
- 会社または退職代行業者から、返却先の住所、担当者名、返却期限を確認する
- 返却する物を一覧と照合する
- 貸与品を緩衝材などで包み、輸送中に壊れないように梱包する
- 返却物の一覧を同封する
- 追跡できる配送方法で発送する
- 送り状の控え、追跡番号、梱包前の写真を保管する
- 配達完了を確認し、必要に応じて受領の連絡を取る
パソコンやスマートフォンなど高額な物や壊れやすい物は、配送中の事故に備えて、梱包状態と本体の状態を写真で残しておくと確認しやすくなります。配送方法や補償の有無は、会社の指定があればそれに従ってください。
返却にかかる送料は誰が負担するのか
送料の負担者は、会社の規定や返却方法、個別の合意によって異なります。法律上いつでも一律に会社負担、または従業員負担になると決まっているわけではないため、自己判断で処理せず、先に確認してください。
会社が着払いを指定している場合は、その方法を利用します。元払いを指定された場合や、送料の扱いが不明な場合は、退職代行業者を通じて「送料は元払い・着払いのどちらか」「立替分を精算できるか」を確認しましょう。
会社の指示を受けずに着払いで送ると、受け取りを拒否される可能性があります。反対に、元払いで送る場合も、送料の精算について合意がないまま請求できるとは限りません。
会社から「直接連絡してほしい」と言われた場合
退職代行を利用している場合、会社から本人へ直接連絡が来ても、すぐに対応せず、まず退職代行業者へ共有します。返却方法についても、可能であれば業者を通じて連絡してもらいます。
ただし、退職代行業者が会社とできる対応の範囲は、業者の種類や契約内容によって異なります。弁護士ではない業者は、退職条件や損害賠償などの法律問題について交渉できない場合があります。会社と返却方法以外の争いが起きている場合は、退職代行業者に対応範囲を確認してください。
貸与品を返却しないとどうなるか
貸与品を返却しないまま放置すると、会社から返却を求められたり、紛失・破損について説明を求められたりする可能性があります。会社の物を無断で処分した場合や、故意・過失によって壊した場合は、損害の負担を求められることもあります。
もっとも、紛失や破損があったからといって、会社が請求する金額がそのまま確定するとは限りません。経緯や物の価値、故意・過失の有無などによって扱いが変わるため、請求を受けた場合は、請求内容と根拠を確認してください。
会社から連絡がない場合でも、返却義務がなくなったとは限りません。返却方法が分からないときは、退職代行業者を通じて確認した記録を残し、会社からの回答を待ちます。
紛失・破損している貸与品がある場合
貸与品を紛失したり壊したりしている場合は、隠さず、状況を記録したうえで会社へ伝えます。自分で買い直したり、修理したりする前に、会社の指示を確認してください。
退職代行業者には、次の情報を伝えると会社への確認が進みやすくなります。
- 紛失または破損した物の名前
- 最後に確認した時期と場所
- 破損の状態
- 紛失・破損した経緯
- 現在手元にある付属品
弁償を求められた場合は、その場で金額や支払い方法に同意せず、請求の内訳や根拠を確認してください。高額な請求や、給与から一方的に差し引くといった問題がある場合は、弁護士などへの相談が必要になることがあります。
会社の書類やデータが手元にある場合
会社の書類、顧客情報、営業資料、電子データなども貸与品に含まれる場合があります。自宅のパソコンやクラウド、USBメモリなどに保存している場合は、自己判断でコピーや転送を続けないでください。
返却方法や削除方法は、会社の指示を確認します。すでに私物の端末へ保存している場合は、保存場所とデータの種類を退職代行業者へ伝え、会社への連絡方法を確認してください。
退職代行を利用するときの返却チェックリスト
次の順番で進めると、返却漏れや配送トラブルを防ぎやすくなります。
- 自宅、車、ロッカー、私物のバッグを確認する
- 貸与品を品名・数量・状態の一覧にする
- 返却先、返却期限、配送方法、送料負担を確認する
- 梱包前に貸与品の状態を写真で残す
- 指定された方法で返却する
- 送り状、追跡番号、配達完了画面を保管する
- 返却できない物があれば、理由と対応を記録する
特に、鍵・社員証・入館証・パソコン・スマートフォン・顧客情報は返却漏れが起きやすく、会社の安全管理にも関わります。見つからない場合は、できるだけ早く会社へ伝えて、利用停止などの指示を受けてください。
退職代行を利用した場合も貸与品は返却が必要
退職代行を利用する場合の貸与品は、退職代行業者を通じて返却方法と期限を確認し、記録が残る方法で返すのが基本です。返却先や送料が不明なまま送らず、会社の指示に従ってください。
まずは手元にある貸与品を一覧にし、退職代行業者へ返却方法の確認を依頼します。紛失・破損や会社からの請求がある場合は、事実関係を整理し、必要に応じて法律問題に対応できる専門家へ相談してください。








