退職代行を使うとき引き止められたらどう対応する?

退職代行を使うとき引き止められたらどう対応する?

退職代行を使うときに引き止められたら、本人が会社と直接やり取りを続ける必要はありません。まずは退職代行業者に会社から受けた連絡内容を伝え、以後の連絡窓口を確認しましょう。退職の時期や未払い賃金などの交渉が必要な場合は、依頼先が弁護士など交渉を扱える事業者かどうかも確認が必要です。

退職代行を使って引き止められたときの対応

会社から「考え直してほしい」「一度話し合いたい」と言われても、退職する意思が変わらないなら、理由を詳しく説明したり、直接面談に応じたりする必要はありません。

  1. 会社からの電話、メール、メッセージの内容を保存する
  2. 依頼した退職代行業者へ、連絡があった日時と内容を伝える
  3. 会社には「今後の連絡は退職代行業者を通してください」とだけ伝える
  4. 退職日、貸与品、給与、離職票などの確認事項を整理する

すでに退職代行業者へ依頼している場合は、自己判断で会社と交渉を進めるより、まず担当者に連絡する方が安全です。会社とのやり取りを本人が続けると、伝達内容に食い違いが生じることがあります。

会社から直接連絡が来たときの返答例

電話に出る必要があるかは、退職代行業者との契約内容や状況によります。電話に出ない場合でも、着信履歴や留守番電話を保存し、担当者へ共有してください。

どうしても本人から返答する必要があるときは、次のように簡潔に伝えます。

「退職の意思は変わりません。今後の連絡は、依頼している退職代行業者を通してください。会社へ返却する物や必要な手続きについては、担当者を通じて確認します」

「退職理由を説明してほしい」「上司と話してほしい」と言われても、退職の意思が変わらないなら、同じ内容を繰り返せば足ります。新しい理由を説明したり、感情的に反論したりする必要はありません。

引き止めの内容によって対応を変える

引き止めには、単なる慰留、退職日の変更要求、損害賠償の主張などがあります。内容によって必要な対応が異なるため、会社からの発言を一律に受け入れたり、拒否したりしないことが大切です。

会社からの連絡 基本的な対応
「辞めないでほしい」「待遇を改善する」 退職の意思が変わらないなら、受け入れない意思を伝える
「退職日は会社が決める」 雇用契約の期間や退職日を確認し、退職代行業者へ共有する
「本人と面談しないと退職を認めない」 面談が退職の必須条件なのかを確認し、必要なら専門家へ相談する
「損害賠償を請求する」「訴える」 その場で認めたり支払ったりせず、発言の記録を保存して弁護士へ相談する
「有給休暇は使えない」 残日数や取得希望日を確認し、退職代行業者または専門家に伝える

退職代行業者に任せられる範囲を確認する

退職代行業者が会社へ退職の意思を伝えることと、会社と条件を交渉することは別です。一般的な退職代行サービスは、本人の退職意思を伝えることはできますが、退職日、有給休暇、未払い賃金、損害賠償などについて法律上の交渉を扱えるとは限りません。

会社との交渉を依頼できるかは、運営主体によって異なります。弁護士が対応するサービスであれば、退職に伴う法律問題について相談・交渉できる場合があります。一方、弁護士資格のない事業者が、報酬を得て法律事務を扱うことには制限があります。

依頼前または引き止めを受けた時点で、次の点を確認してください。

  • 会社への退職意思の伝達だけを行うサービスか
  • 退職日や有給休暇について会社と交渉できるか
  • 未払い賃金や損害賠償請求への対応を扱えるか
  • 交渉が必要になった場合、弁護士へ引き継げるか

退職できるかは雇用契約の種類で変わる

正社員など、期間の定めがない雇用契約では、労働者からの退職の申し入れについて、民法上は原則として申し入れから2週間が経過すると雇用が終了する規定があります。ただし、給与の決め方や就業規則、実際の勤務状況によって確認すべき点があるため、退職日を一律に決めつけないようにしてください。

民法第627条では、期間の定めがない雇用について、当事者が解約の申し入れをした場合の扱いが定められています。

契約社員など、雇用期間が決まっている場合は扱いが異なります。契約期間の途中で退職できるかは、契約期間、やむを得ない事情、契約の内容などによって判断されます。会社に引き止められているからといって、契約期間中の退職が必ず不可能になるわけでも、必ず自由に退職できるわけでもありません。

雇用契約書や労働条件通知書で、次の項目を確認しましょう。

  • 雇用期間に定めがあるか
  • 契約の終了日がいつか
  • 更新の有無や更新条件がどうなっているか
  • 退職の申し出に関する就業規則の定めがあるか

引き止めに応じる前に確認したいこと

「給料を上げる」「異動させる」「人間関係を改善する」と提案された場合でも、口頭の約束だけで退職を取り消すのは避けましょう。残る選択肢を検討するなら、変更後の給与、配属先、開始時期、業務内容を会社から書面で示してもらい、実現する条件を確認してください。

退職の意思を変えない場合は、次のように返答できます。

「ご提案ありがとうございます。ただ、退職の意思は変わりません。退職に必要な連絡は、依頼している退職代行業者を通してください」

退職を取り消すか迷っている場合は、すぐに会社へ返事をせず、退職代行業者や弁護士などに相談してから判断します。会社からの圧力で、納得していないまま退職を撤回しないことが重要です。

「退職を認めない」と言われた場合

会社が「退職届を受け取らない」「上司が承認しない」と言っても、退職の効力が会社の気分だけで決まるとは限りません。ただし、雇用契約の種類や退職日、退職の伝え方によって判断が変わるため、会社の発言だけで結論を出さないでください。

退職届を郵送する場合は、送付日や内容が分かる方法を使い、控えを保存します。退職代行業者を通じて提出する場合も、退職届の写しや送付記録を保管しておくと、後で経緯を確認しやすくなります。

会社が離職票、給与、源泉徴収票などの書類を渡さない、または賃金の支払いを拒む場合は、退職の問題とは別に対応が必要になることがあります。やり取りの記録を残し、労働基準監督署や弁護士など、内容に合った相談先を検討してください。

引き止めが強いときに保存する記録

後から事実関係を確認できるよう、次の資料を手元に残します。

  • 会社からの電話番号、着信履歴、メール、メッセージ
  • 会社が提示した退職撤回や待遇変更の条件
  • 退職代行業者との契約内容と担当者とのやり取り
  • 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則
  • 給与明細、有給休暇の残日数が分かる資料
  • 退職届や貸与品を送った記録

脅すような発言、長時間の呼び出し、家族や自宅への連絡などがある場合は、日時と内容を記録してください。危険を感じる連絡には無理に対応せず、緊急性があるときは警察への相談も検討します。

退職代行を使った後の引き止めへの結論

退職の意思が変わらないなら、会社の引き止めに長く説明を続ける必要はありません。会社からの連絡を保存し、退職代行業者を窓口にして、退職日・有給休暇・貸与品・必要書類を整理するのが基本です。

退職日や未払い賃金などの交渉が必要な場合、また「損害賠償を請求する」と言われた場合は、依頼先の対応範囲を確認してください。雇用期間に定めがある場合や、会社との争いが生じている場合は、弁護士など法律相談を扱う専門家への確認が必要です。